ピップエレキバン
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29BZ0053
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磁石が人生を豊かにする!?

音楽の歴史は、人が誕生したと同時に始まったと言ってもいいでしょう。しかし「音楽」といってイメージする、楽器や歌声で奏でる音楽が一般化したのは、ごく最近のことです。スピーカーやマイクなどがなかった時代、楽器で演奏される音楽を楽しむには、音楽家の生演奏を聴くしかなく、とても贅沢なことでした。それらは一部の貴族のもので、一般の人々は、大道芸人や教会などで演奏される音楽を聴くくらいしか手段がありませんでした。

しかし現代では、わずか数センチ四方の機器に音楽を詰め込み、いつでもどこでも音楽を聴く事ができます。また、スピーカーやマイクの技術があがり、大きなホールでたくさんの人々が一斉に音楽を楽しむことも可能です。音楽はとても身近で、誰でも簡単に楽しめるものになりました。これら音楽を楽しむためのスピーカーやマイクなどの音響機器にも磁石の力が大きく貢献しています。



もっと美しい音を、たくさんの人に
1920年頃、真空管が発見され、マイクを使ったレコードの電気録音が開始されると、音を拡大するアンプシステムが誕生し、音楽を大音響で楽しめるようになりました。
当初、音楽を録音する際は、演奏する人々の真ん中に1本のマイクを置き録音するといったものでしたが、磁気テープ録音方式が発達すると、「全体に1本」のマイクでは拾えなかったようなごく小さい音を出す楽器や繊細な歌声も収録できるようになりました。こうして録音でも、まるで目の前で生演奏をきいているかのような臨場感ある、はっきりとした音を楽しむ事ができるようになったのです。


これら臨場感ある音を楽しむのに欠かせないのがスピーカー。手のひらに乗ってしまいそうなほど小さなものから、ホールなどで使われるとても大きなものまで、場所や用途に合わせて様々なものが登場しています。

スピーカーに欠かせないのは強力な磁石。振動板に動きが伝わるように巻かれたコイル(ボイスコイル)に電気(音声電流)を流すと、周りに配置された磁石に反応して振動板が動き、空気を振動させて音となるのです。
スピーカーの開発当初、使われる磁石はとても高価なものでしたが、磁石の進化により、現在では安価なフェライト磁石が使用されています。フェライト磁石はVol.10でも紹介した通り、安価でしかも自由な形に生成可能というメリットがあります。そのため値段も抑えられ一般でも手軽にスピーカーを使用できるようになり、小型やデザイン性の高いスピーカーも作る事ができるようになりました。



スピーカーとテレビの複雑な関係!?
スピーカーが今のように一般化する前の頃、愛好者がテレビ音声を迫力あるスピーカーで楽しもうと、テレビの横にスピーカーを置いて接続してみたところ、テレビ画面が不自然な色むらになるという事件が多発しました。

原因はVol.8でも紹介した、テレビの構造にあります。ブラウン管の電子銃から発射された電子ビームが、スピーカーの磁力によって曲げられ、正しく画面が映らなかったというわけです。単純に、テレビとスピーカーを離して置けば解決するのですが、当初は原因もわからず、何だか不気味で困っていたといいます。

現在では磁気シールドをつけたり、もうひとつ磁石をつけて磁束を打ち消したりと対策が施され、まずこのような心配はなくなっています。しかし磁気がなくなるわけではありませんので、大きなスピーカーの周りには、磁気カードや磁石に影響をうけてしまうような製品は置かない方がいいでしょう。



参考文献:
山川正光著「トコトンやさしい磁石の本」(日刊工業新聞社)
吉岡安之著「じしゃく忍法帳 磁石とエレクトロニクスのはなし」(日刊工業新聞社)

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